変形性腰椎症の治療・手術|京都・長岡京の脊椎センター

腰を反らしたときや長く立っていたときの痛み、朝の動き始めのつらさ、年齢とともに進む腰曲がり——加齢に伴う腰椎の変化が原因のことがあります。変形性腰椎症の原因と症状、保存療法から手術までの考え方、当院で行う手術についてご説明します。

秋山 典宏 医師(長岡京病院 脊椎センター長)

脊椎センター 担当医:秋山 典宏(あきやま のりひろ)医師

日本整形外科学会認定 整形外科専門医
1999年 京都大学医学部卒業。2013年より脊椎外科を専門として診療しています。
脊椎手術の執刀件数:約1,700件(2013年10月〜2026年9月・前職を含む)

まずはセルフチェック

腰痛が出やすい場面の模式図。腰を反らす動作、長時間の立ち仕事、前かがみでの作業の3つを示している
こんなときに腰が痛みませんか?(模式図)
  • 朝起きたときや動き始めに腰がこわばるが、動いているうちに少し楽になる
  • 長く立っていたり、腰を反らしたときに腰が痛む
  • 前かがみの姿勢や、重い物を持ち上げる動作がつらい
  • レントゲンで「背骨の変形がある」「骨に棘がある」と言われたことがある
  • 腰の痛みに加えて、足のしびれや歩きにくさが出てきた

複数当てはまる方は変形性腰椎症の可能性があります。※これは受診の目安であり、診断ではありません。足の力が入りにくい、排尿・排便に変化があるといった症状がある場合は、早めにご受診・ご相談ください。

変形性腰椎症とは(原因・病態)

正常な腰椎の模式図。椎体・椎間板・黄色靭帯・脊柱管を示し、椎体の後ろ側がなめらかで神経の通り道にゆとりがある状態変形性腰椎症の模式図。狭くなった椎間板、肥厚した靭帯、脊柱管へ突き出した骨棘を示している
正常な腰椎(左)と変形性腰椎症の状態(右):椎間板が狭くなり、骨棘や肥厚した靭帯が神経の通り道を狭めます

変形性腰椎症は、加齢に伴って腰椎(腰の背骨)に変化が生じ、腰痛などの症状が現れる状態をいいます。背骨は、椎体と呼ばれる骨が椎間板というクッションを挟んで積み重なり、後ろ側は椎間関節でつながっています。

年齢とともに椎間板の水分が減って弾力を失うと、椎体どうしの間隔が狭くなります。すると背骨にかかる負担の分散がうまくいかなくなり、椎体の縁に骨棘と呼ばれる骨の出っ張りができたり、椎間関節が変形したりします。この一連の変化が変形性腰椎症です。

変化そのものは加齢に伴って多くの方に起こるもので、レントゲンで変形が見つかっても症状がない方も少なくありません。画像所見と症状が一致しているかどうかが、治療方針を考えるうえで重要になります。

腰に負担のかかる作業を長年続けてきた方、以前に腰椎を痛めたことがある方では、変化が進みやすい傾向があります。

症状と、進行するとどうなるか

もっとも多い症状は腰痛です。朝起きたときや長時間座ったあとの動き始めにこわばりや痛みが出て、動いているうちにやわらぐという経過をたどることがよくあります。腰を反らす動作、長時間の立ち仕事、前かがみでの作業で痛みが強まる方が多くみられます。

変化が進むと、骨棘や肥厚した靭帯が神経の通り道を狭くすることがあります。この段階になると腰痛だけでなく、足のしびれ・痛み、歩いていると足がつらくなって休みたくなるといった神経の症状が加わります。椎体どうしのずれが生じれば、腰椎すべり症の状態になることもあります。

進み方には個人差があり、変形があっても症状が強くならないまま経過する方もいます。ただし、足のしびれや歩きにくさが出てきた場合は、神経の圧迫が起きている可能性があるため、症状の内容と画像を合わせて確認する必要があります。

腰部脊柱管狭窄症・すべり症との違い

変形性腰椎症は、加齢による腰椎の変形そのものを指します。その変形が進んで神経の通り道(脊柱管)が狭くなった状態が腰部脊柱管狭窄症、椎体どうしが前後にずれた状態が腰椎すべり症です。このうち、加齢による変性が原因の変性すべり症は変形性腰椎症と連続した変化です(成長期の疲労骨折が背景にある分離すべり症は、原因が異なります)。実際にはこれらを併せもつ方も多くいらっしゃいます。

症状や治療がそれぞれ異なりますので、詳しくは 腰部脊柱管狭窄症の治療・手術、腰椎すべり症の治療・手術 をご覧ください。

また、背中が丸くなる・腰が曲がってきた(腰曲がり)・背が縮んだといった変化は、骨粗しょう症によるいつのまにか骨折(背骨の圧迫骨折)が原因のこともあります。変形性腰椎症とは異なる原因のため、気になる場合はあわせてご確認ください。

検査と診断(レントゲン・CT)

まず問診で痛みの出方や日常生活での困りごとを伺い、神経学的診察で足の筋力・感覚・反射を確認します。そのうえでレントゲン撮影を行い、椎間板の間隔の狭まり、骨棘の有無、椎体のずれ、前後屈での動きを確認します。

骨の形をより詳しく見る必要があるときはCTを追加します。当院にはMRIの設備がないため、必要な場合は近隣の医療機関での撮影をご案内しています。他院で撮影されたMRIの画像をお持ちの方は、CD-ROMなどの媒体でご持参ください。神経の圧迫の程度もあわせて評価でき、これまでの経過を踏まえた診断がしやすくなります。紹介状があればあわせてお持ちください。

治療方針(保存療法から手術へ)

変形性腰椎症の治療は保存療法から始めるのが基本です。加齢による骨の変形そのものを元に戻すことはできませんが、痛みをやわらげ、腰への負担を減らすことで日常生活を送りやすくすることを目指します。

薬物療法

消炎鎮痛薬や神経の症状に用いる薬などを、症状に応じて調整します。

リハビリテーション

腰を支える筋力を保ち、姿勢や身体の使い方を整えます。日常生活で腰に負担のかかる動作を見直すことも大切です。

装具(コルセット)

保存療法ではコルセットを必ず使用し、腰を支えて痛みの出る動きを抑えます。

手術を検討するのはどんなときか

保存療法を続けても痛みやしびれで生活に支障がある場合、歩ける距離が短くなってきた場合、足の筋力低下や排尿・排便の障害がある場合には手術を検討します。判断の基準は変形の大きさではなく、症状の原因が画像所見と一致していて、手術で取り除けるものかどうかです。変形があるという理由だけで手術をお勧めすることはありません。

当院で行う手術(除圧術・椎体間固定術)

症状の原因に応じて、次の手術を行っています。

除圧術

神経を圧迫している骨や肥厚した靭帯を取り除き、神経の通り道を広げる手術です。背骨のぐらつきが少なく、圧迫を取り除くことで症状の改善が見込める場合に選択します。

除圧術(腰椎椎弓切除術・開窓術)の解説図
除圧術:神経を圧迫している骨や靭帯を取り除き、神経の通り道を広げます

椎体間固定術(TLIF・PLIF)

椎体どうしのずれや不安定性を伴う場合には、除圧に加えてスクリューなどで腰椎を固定します。ぐらつきによって生じている痛みに対しては、除圧だけでは改善しにくいためです。当院では経椎間孔的腰椎椎体間固定術(TLIF)を中心に、症例に応じて後方椎体間固定術(PLIF)も行います。変形が広い範囲に及ぶ場合には、複数の椎間をまとめて固定し、背骨の並びを矯正する手術を行うこともあります。骨粗しょう症がある方では、骨の強さに合わせて固定の方法を検討し、必要に応じて骨を強くする薬による治療を並行して行います。

経椎間孔的腰椎椎体間固定術(TLIF)の解説図
固定術(TLIF):スクリューとケージで固定し、背骨の安定性を確保します

手術で改善が期待できる状況/期待しにくい状況

足のしびれや歩きにくさなど、神経の圧迫による症状は手術で改善が期待できます。一方、長年の変形に伴う腰痛そのものは、手術を行っても残ることがあります。また神経の圧迫が長期間続いていた場合には、圧迫を取り除いてもしびれが完全には戻らないことがあります。

リスク・合併症

手術には、出血・感染・硬膜損傷や髄液漏・神経の障害といった危険性が伴います。また、安静により脚の静脈に血のかたまりができること(血栓症)や、術後の血腫による麻痺が起こることもあります。固定術では、固定した骨がつかないこと(偽関節)やスクリューのゆるみ、固定した部分の上下の椎間に負担が集中し、後年そこに新たな症状が出ること(隣接椎間障害)もあります。これらを含めて、手術を受ける場合と受けない場合の見通しを診察時にご説明します。なお、上記のほかにも患者さんの状態に応じてお伝えすべきリスクがあります。

手術から退院までの流れ

  1. 術前検査(血液検査・画像・全身状態の評価)と、手術の説明・同意
  2. 手術(全身麻酔。術式により時間は異なります)
  3. 術後はできるだけ早期に、入院中からリハビリテーションを開始し、歩行・日常生活動作の回復を目指します
  4. 退院後も外来・リハビリテーションで経過をみていきます

手術日までは、手術の計画を立てるため2週間以上の期間をいただいています。入院期間の目安は1か月以上で、手術の範囲によって変わりますので、詳しくは診察時にご説明します。

手術後の回復の見通し

変形性腰椎症の手術は、2〜3椎間の固定から背骨全体の矯正固定まで範囲に幅があり、体への負担も大きく異なります。そのため術後の経過は症例によって大きく変わり、仕事や運転などに戻る時期を一律にお伝えすることはできません。

おおよその目安として、日常生活に支障なく過ごせるようになるまで半年ほどかかるとお考えください。実際の見通しは、手術の範囲と回復の状況にあわせて診察時にご説明します。

費用について(健康保険・高額療養費)

変形性腰椎症の診断や治療のために医師が必要と判断した検査・保存療法・手術には、公的医療保険が適用されます。自己負担の割合は年齢や所得に応じて決まります。

入院や手術で自己負担が高額になる場合には高額療養費制度を利用できます。限度額適用認定証の交付を受けるか、マイナ保険証をご利用いただくと、窓口でのお支払いを自己負担限度額までにとどめられます。金額は術式・入院期間・加入されている保険により異なりますので、診察時に個別にご説明します。

長岡京病院 脊椎センターの診療体制

  • 脊椎を専門とする医師が担当:日本整形外科学会認定 整形外科専門医・日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医の秋山 典宏 医師が、2013年より脊椎外科を専門として診断から手術までを一貫して担当します
  • 変形の程度ではなく症状で判断:画像上の変形と症状が一致しているかを確認したうえで治療方針をご提案します
  • 他院で治療中の方の再評価にも対応:手術後も症状が続く方のご相談を承っています(脊柱管狭窄症の再手術)
  • 複数の診療科を併設:整形外科、脳神経内科・循環器内科・糖尿病内科、リハビリテーション科、放射線科があり、持病の治療と腰の治療を院内で並行して進められます
  • 医療機関からのご紹介:紹介状はFAX(075-955-1236)で受け付け、医事課から紹介元の先生へご連絡します

対応エリア

長岡京病院 脊椎センターには、長岡京市・向日市・大山崎町(乙訓地域)のほか、京都市や大阪府北部からもご来院いただいています。阪急「長岡天神」駅から徒歩約5分です。腰の痛みや足のしびれでお困りの方、他院で変形性腰椎症と言われて今後の方針に迷われている方は、どうぞご受診・ご相談ください。

受診の流れ・アクセス

  1. ご予約:完全予約制です。ご来院前に必ずお電話でご予約ください。他院の紹介状・画像(MRI等)をお持ちの方はご持参ください
  2. 診察・検査:問診と神経学的診察を行い、レントゲンで確認します(必要に応じてCTを追加します)
  3. 治療方針のご説明:保存療法と手術それぞれの見通しとリスクをご説明し、一緒に方針を決めます
病院名 医療法人総心会 長岡京病院
住所 〒617-0824 京都府長岡京市天神1丁目20-10
アクセス 阪急京都線「長岡天神」駅から徒歩約5分
診察日 月曜・火曜・金曜 午前9:00〜12:00(受付開始8:30)/担当:秋山 典宏 医師

よくある質問

Q. 変形性腰椎症は手術で治りますか。
神経の圧迫による足のしびれや歩きにくさは、手術で改善が期待できます。一方、加齢による変形そのものを元に戻すことはできず、長年の腰痛は手術後も残ることがあります。何を改善したいのかを整理したうえで検討します。
Q. 手術の費用はどのくらいかかりますか。
医師が必要と判断した検査・治療には公的医療保険が適用されます。自己負担が高額になる場合は高額療養費制度を利用でき、限度額適用認定証の交付を受けるか、マイナ保険証をご利用いただくと窓口負担を抑えられます。金額は術式・入院期間・ご加入の保険により異なるため、診察時にご説明します。
Q. 変形性腰椎症はひどくなるとどうなりますか。
変形が進んで神経の通り道が狭くなると腰部脊柱管狭窄症、椎体が前方へずれると変性すべり症の状態になることがあります。ただし進み方には個人差があり、変形があっても症状が強くならない方もいます。
Q. 他院で撮ったMRIの画像は使えますか。
はい。他院で撮影された画像をCD-ROMなどでご持参いただけると、神経の圧迫の程度まで含めて、経過を踏まえた評価がしやすくなります。紹介状があわせてあると助かります。
Q. 手術の入院期間はどのくらいですか。
目安は1か月以上です。変形性腰椎症の手術は2〜3椎間の固定から背骨全体の矯正固定まで範囲に幅があり、入院期間も手術の範囲によって変わります。詳しくは診察時にご説明します。
Q. 手術のあと、日常生活に戻るまでどのくらいかかりますか。
手術の範囲によって大きく変わるため一律にはお伝えできませんが、日常生活に支障なく過ごせるようになるまで半年ほどとお考えください。