福岡工業大学と機械学習を活用した手術情報支援システムの開発に向けた共同研究を開始

2025年4月8日

医療法人総心会 長岡京病院 (所在地:京都府長岡京市、理事長:水黒知行、以下「当院」)は、直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう)および肛門括約筋機能不全に対する手術における手術情報支援システムの構築を目指した共同研究を2025年4月より開始することを発表いたします。

▶ 背景と目的

 直腸膣瘻および肛門括約筋機能不全は、直腸と膣の間にある会陰体という組織が先天的または経膣分娩により破綻する事によって生じる疾患であり、患者の生活の質に重大な影響を及ぼします。

根治には外科治療が必要ですが、本邦で年間50例程度と希少であるため、不慣れな施設が多く不十分な手術によって人工肛門を造設されたり、高頻度に再発したりなど、術式が確立していないことが問題となってきました。手術の成功には技術は当然として正確な組織解剖の認識が不可欠です。これには症例経験が必要でありますが、症例が限られているため、経験の共有、知見の均てん化が必要と考えました。

本研究では、当院で手術中に撮影される画像を解析する機械学習アルゴリズムを開発し、術中の適切な判断を支援するシステムの実現を目指します。

徳安達士教授、産学連携プロデューサー 佐々木賢氏、村上耕一郎医師、代表取締役 中川隆太郎

▶ 各施設の特徴と強み

総心会長岡京病院

本邦で年間約50例とされる希少な直腸膣瘻および肛門括約筋機能不全の手術を、年間約30例実施しており、この分野で豊富な経験と知見を有しています。

福岡工業大学

内視鏡外科手術情報支援システムに関連する人工知能ソフトウェアの開発において多くの研究成果を挙げております。

また、日本内視鏡外科学会や日本産科婦人科内視鏡学会など,国内の主要な学会において数多くの講演を行い、関連分野の発展に寄与しています。

▶ 研究の概要

研究テーマ:

「直腸膣瘻および肛門括約筋機能不全手術の手術データを用いた手術情報支援システムに関する研究開発」

•研究内容

1.手術中に取得される画像データの収集と解析

2.治療において重要な「会陰体」の自動検出および診断支援機能の開発

3.臨床現場で利用しやすいインターフェース設計

•参加者

総心会長岡京病院 副院長・外科医師 村上耕一郎

福岡工業大学 情報工学部 情報システム工学科 教授 徳安達士

•期待される成果

1.治療技術の普及

2.他院での手術成功率の向上

3.患者様の負担軽減

▶ 今後の展望

本研究の成果により、直腸膣瘻、肛門括約筋機能不全に限らず他の希少な外科手術への応用可能性も視野に入れています。さらに、医療分野におけるAI技術の活用促進を通じて、より多くの患者様に安全かつ効果的な治療を提供することを目指します。

直腸膣瘻、肛門括約筋機能不全は心身ともに大きな負担を伴います。

この研究によって治療技術が広く普及し、どの医療機関でも適切な治療を受けられるようになることが期待されます。また、手術の成功率が向上することは患者様にとって大きな希望となります。手術に対する不安や恐怖を軽減し、前向きな気持ちで治療に臨むことができるのではないでしょうか。これらは現在疾患に悩んでいる方や、これから治療を検討している方にとって、大きな励みとなります。

この研究が、直腸膣瘻や肛門括約筋機能不全に悩む患者様の未来を明るく照らす一助となることを願っています。

▶ お問い合わせ先

本共同研究に関するお問い合わせは以下までご連絡ください。

総心会 長岡京病院 管理部部長 利根哲也

電話番号: 075-955-1151

メール: nagaokakyohp-tn@titan.ocn.ne.jp

福岡工業大学 総合研究機構 産学連携プロデューサー 佐々木賢

電話番号: 092-606-3236

メール: sangaku@fit.ac.jp