いつのまにか骨折とは、転んだ覚えもぶつけた覚えもないのに、背骨を構成する「椎体」というブロック状の骨がつぶれてしまう骨折です。
- 正式名称
- 脊椎圧迫骨折/骨粗鬆症性椎体骨折
- 別の表記
- いつの間にか骨折
骨粗しょう症で骨の強度が下がると、自分の体重を支えるだけで椎体が押しつぶされることがあります。折れた瞬間がはっきりしないため、骨折に気づかないまま過ごしている方が少なくありません。
このページでわかること
- 痛みのないまま起こる理由
- 放置するとどうなるか
- 治るまでの期間の目安
- ここでいう「治る」は、折れた骨が固まる(骨癒合する)ことです。つぶれた形の変形は残り、骨粗しょう症そのものが治るという意味ではありません。
- 参考にした資料は、ページ下部に記載しています。
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いつのまにか骨折のセルフチェック
まずはレントゲン検査で骨の状態を確認します。ご予約・ご相談はお電話でお受けしています。
京都・大阪から受診をお考えの方へ
長岡京病院 脊椎センター(京都府長岡京市)には、長岡京市・向日市・大山崎町(乙訓地域)のほか、京都市や大阪府北部からもご来院いただいています。
- アクセス
- 阪急京都線「長岡天神」駅から徒歩約5分
- 脊椎外科外来
- 月曜・火曜・金曜の午前(完全予約制)
- お持ちいただくもの
- 他院で撮影した画像(レントゲン・MRI等)や紹介状をお持ちの方は、ご持参ください。
- ご予約・ご相談
- 075-955-1151電話受付:月〜金曜 9:00〜17:00/土曜 9:00〜12:00
いつのまにか骨折とは正式名称:脊椎圧迫骨折/骨粗鬆症性椎体骨折
背骨は、椎体という円柱状の骨が積み重なってできています。この椎体がつぶれるように変形する骨折が、脊椎圧迫骨折です。
丈夫な背骨の場合
交通事故や高所からの転落など、強い力が加わったときに折れることが多い
骨粗しょう症で骨が弱いと
日常のごくわずかな動作でも折れてしまう可能性がある
なぜ「いつのまにか」骨折してしまうのか
外からの強い衝撃ではなく、ご自身の体を支える負担だけで背骨がつぶれてしまうからです。
- 弱くなった椎体が、上半身の重みを支えきれない
- 一度に折れるのではなく、時間をかけて少しずつ潰れていく
- はっきりした「折れた瞬間」がなく、気づかないまま過ごしてしまう
何もしていないのに骨折するのはなぜ?
「何もしていない」と感じていても、骨に負担がかかる場面は日常にたくさんあります。
- くしゃみをする、咳き込む
- 布団や座布団を持ち上げる
- ふとんの上げ下ろし、洗濯物を干す
- 尻もちをつく、段差でつまずく
- 前かがみで靴下を履く
健康な骨なら何ということもない動作でも、骨密度が低下していると骨折のきっかけになります。骨が弱くなっていること自体には痛みがないため、気づきにくいのです。
いつのまにか骨折が起きやすい部位
背骨のなかで最も折れやすい場所
胸椎と腰椎のつなぎ目あたり(背中の下のほう)
上半身の重みが集中し、動きの支点になりやすいためです。
骨粗しょう症で骨折が起こりやすいのは、背骨だけではありません。
- 背骨椎体
- 特に注意太ももの付け根大腿骨近位部
- 手首橈骨遠位端
- 腕の付け根上腕骨近位部
太ももの付け根の骨折は歩行に直結するため、特に注意が必要とされています。
いつのまにか骨折は高齢の方に多くみられますが、閉経後であれば50代・60代でも起こります。
いつのまにか骨折の症状痛みがないのはなぜか
脊椎圧迫骨折の症状は、強い痛みが出る場合と、ほとんど痛まない場合の両方があります。
痛みが出る場合
寝返り・起き上がり・立ち上がりなど、姿勢を変える瞬間に強く痛む
じっと横になっていると和らぐため、良くなったと思い、受診が遅れることがあります。
ほとんど痛まない場合
椎体がゆっくり変形していくと、痛みが出にくい
これが「いつのまにか」骨折している状態です。
痛みの代わりに現れるサイン
痛みの代わりに、次のような変化が手がかりになります。
- 身長が縮む椎体がつぶれた分だけ背骨が短くなります
- 背中が丸くなる前側が強くつぶれると、背骨が前に傾きます
- 動き始めが痛い横になると楽で、動き始めると痛みます
- 疲れやすくなった以前より疲れやすい、長く立っていられない気がする
ご自身では気づきにくく、ご家族が先に気づくことも少なくありません。
「背が縮む・背中が曲がる」の、すべてが骨折ではありません
背中が丸くなる、背が縮むといった変化は、いつのまにか骨折以外の原因でも起こります。
治療方針はそれぞれ異なるため、「年齢のせい」と決めつけず、まずはレントゲンで骨の状態を確認することが出発点になります。
いつのまにか骨折は自然に治るのか経過とコルセット
「寝たきりになるのでは」と不安な方へ
多くの方は、治療によって歩いて生活を続けられます。
ただし、骨折の程度や併存されているご病気、もともとの生活動作の状態によって、経過は大きく異なります。ここでは一般的な経過の目安をご説明します。
骨がつくまでの経過
つぶれた椎体は、時間をかけて硬く固まっていきます。骨が安定するまでの期間は、骨折の程度や骨の状態によって差がありますが、一般的には数か月単位で考えます。
安静にしすぎると
筋力や骨量がさらに低下し、転倒や骨折の繰り返しにつながることがある
この時期に大切なのは
痛みを抑えながら、動ける範囲で体を動かすこと
痛みが強い時期を過ぎれば、多くの方は装具を着けた状態で歩行や日常生活に戻っていきます。入院が必要かどうかは、痛みの程度、ご自宅の環境、ご家族の介助体制によって、お一人ずつ判断します。
コルセットはいつまで必要か
つぶれた椎体がさらに変形しないよう、体幹を支える装具(コルセット)を用いることがあります。
装着期間の目安3〜6か月
骨の状態により調整します。痛みが引いたからといって自己判断で外すと、骨が固まりきる前に変形が進むことがあります。
外すタイミングは必ず診察で判断しましょう。
治療を受けないまま固まった場合
いつのまにか骨折は、治療を受けないまま骨が固まってしまうことが実際にあります。「いつのまにか折れて、いつのまにか固まっていた」というケースです。
ただし、それで解決したわけではありません。理由は2つあります。
- つぶれた形のまま固まるため、背骨の変形は残ります
- 骨の強度が低下した状態そのものは変わらないため、次の骨折が起こりやすいままです
痛みが消えたことと、骨粗しょう症が治ったことは別です。骨折をきっかけに骨の検査と治療を始めることが、次の骨折を防ぐことにつながります。
いつのまにか骨折を放置するとどうなるか
いつのまにか骨折は、痛みが引けば終わりというものではありません。放置したときに起こりうることは、大きく3つあります。
次の骨折が起きやすくなる
椎体骨折が一つ起こると、その上下の椎体にかかる負担が変わり、続けて骨折が起こりやすくなることが知られています。「骨折の連鎖」と呼ばれる状態です。
骨がつかない場合(偽関節)と、神経が圧迫された場合
骨がつかない(偽関節)
つぶれた椎体がうまく固まらず、骨折した部分が動き続けてしまう
起き上がるたびに強い痛みが続く、いつまでも痛みが引かない場合は、この状態が疑われます。
神経が圧迫された場合
椎体の後ろ側が脊柱管に張り出し、足のしびれや麻痺、歩行障害が生じる
この場合は、手術による治療を検討します。
こんなときは、早めにご受診・ご相談ください
- 痛みが数週間以上続く
- いったん良くなったのに、再び強く痛む
- 足がしびれる
骨が固まっていない、神経が圧迫されているといった原因が隠れていることがあります。
背中が曲がることで起こる不調
背骨の変形が進むと、痛み以外の不調にもつながります。
- 前かがみの姿勢が続き胃液が逆流しやすくなる
- 腹部が圧迫されて食事量が減る
- 胸郭が広がりにくく息苦しい
- 重心が前に移って転びやすくなる
背中の曲がりは見た目の問題にとどまらず、生活の質そのものに関わります。
いつのまにか骨折の原因起こりやすい方の特徴
原因は骨粗しょう症
いつのまにか骨折の最大の原因は骨粗しょう症です。骨の量が減り、内部の構造が粗くなることで、骨が本来の強度を保てなくなります。
女性の場合
閉経後は、短い期間で骨量が大きく減り、骨粗しょう症が起こりやすくなる
骨の量は、女性ホルモンのはたらきによって保たれているためです。
男性の場合
加齢とともに骨量は減っていくため、無関係ではない
また、骨を支えているのは筋肉です。加齢とともに筋肉量が減る「サルコペニア」の状態になると、骨にかかる負担が増え、転倒も起こりやすくなります。骨の治療と並行して筋力を保つことが、再骨折の予防につながります。
くわしくはこちら骨密度検査(DXA法)と骨粗しょう症の治療いつのまにか骨折が起こりやすい方の特徴
次の項目に当てはまる方は、骨の強度が下がっている可能性があります。
これまでの経過・体質
- これまでに骨折したことがある
- ご両親に、太ももの付け根を骨折した方がいる
- 閉経が早かった
- やせ型である、体重が減った
お薬・ご病気
- ステロイド薬を長期間使っている
- 関節リウマチ、糖尿病、甲状腺の病気で治療中である
生活習慣
- 喫煙している
- お酒をよく飲む
- 運動する機会が少ない
※このリストは『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』などで挙げられている、骨折や骨密度低下と関連する要因をもとにしています。
いつのまにか骨折の検査どこで、何を調べるのか
レントゲンだけでは分からないことがあります
背骨の骨折はレントゲン検査で見つかることが多いのですが、折れたばかりの骨折(新鮮骨折)と、以前に折れて固まったもの(陳旧性骨折)の区別がつきにくいことがあります。そのため、次のように確認していきます。
- レントゲン検査背骨の状態を確認します
- 経過と診察での所見いつごろから痛むのか、どんな動作で痛むのかをあわせて判断します
- 必要に応じてCT検査つぶれ方や、後ろ側への張り出しの程度を当院で確かめます
他院で撮影された画像(レントゲン・MRI等)をお持ちの方は、受診の際にご持参ください。
骨密度検査(DXA法)
骨の量を測る検査です。次の2か所で測定するのが基本とされています。骨折したときに影響が大きい部位だからです。
- 腰椎腰の骨
- 大腿骨太ももの付け根
当院の骨密度検査
- 原則として、腰椎と大腿骨の両方を測定します
- 結果は検査の当日に医師がご説明いたします
- 必要に応じてレントゲンなどの結果もあわせて、治療方針を決めていきます
いつのまにか骨折の治療
いつのまにか骨折の治療には、目的が2つあります。
目的 1
折れた骨を安定させる
目的 2
次の骨折を防ぐ
どちらか一方では不十分です。
保存療法(手術をしない治療)
多くの方はまず保存療法から始めます。
- 装具(コルセット)体幹を支え、つぶれた椎体にかかる負担を減らします
- 痛みの治療内服薬などで痛みを抑え、動ける状態を保ちます
- リハビリテーション筋力の低下と関節の硬さを防ぎます
- 骨粗しょう症の治療骨そのものを強くします
骨粗しょう症の治療で次の骨折を防ぐ
骨の量と質の改善を目的とした飲み薬や注射を用います。複数の種類があり、骨密度や骨折の状態に応じて選択します。
- 骨を壊す働きを抑える薬
- 骨を作る働きを助ける薬
治療によって増えた骨密度は、治療を中断すると経時的に失われていきます。骨折の痛みが取れた後も継続することが大切です。
お薬による治療の概要骨密度検査(DXA法)と骨粗しょう症の治療手術が検討されるのはどんなときか
次のような場合、手術を検討します。
- 保存療法を続けても痛みが引かない
- 骨が固まらない(偽関節)
- 変形が進み、神経が圧迫されて足のしびれや麻痺がある
- 痛みのために日常生活が送れない
当院では、次のような手術を行っています。どの方法を選ぶかは、骨折の状態・部位・全身の状態によって異なります。
- つぶれた椎体を内側から安定させる経皮的椎体形成術(BKP)くわしく見る
- 変形が強い場合や、神経の圧迫がある場合固定術・除圧術
手術には合併症のリスクもあります。適応とリスクは、検査の結果をもとに、診察時に個別にご説明します。ご不明な点は遠慮なくおたずねください。
いつのまにか骨折を繰り返さないために
骨を守る生活の要点
骨を守る生活の基本は、次の3つです。
食事から十分にとる
- カルシウム骨の材料
- ビタミンDカルシウムの吸収を助ける
- たんぱく質骨や筋肉をつくる
運動を続ける
- 体重が骨にかかる運動歩行など
転倒を防ぐ
- 段差をなくす
- 滑り止めを敷く
- 夜間の動線に足元灯を置く
- 手すりを設置する
一度いつのまにか骨折を起こした方へ
すでに骨折した方は、次の骨折が起こりやすい状態にあります。
だからこそ、骨折の治療と同時に骨粗しょう症の治療を始めることに意味があります。痛みが取れて生活が元に戻ると、通院や服薬が途切れやすくなります。
次の骨折を防ぐ治療は、ここからが本番です。
ご家族がいつのまにか骨折に気づくためのポイント
ご本人が痛みを訴えないまま骨折していることがあります。次のような変化が見られたら、受診をおすすめします。
こんな変化はありませんか
- 以前より背が縮んだ、背中が丸くなった
- 動作を始めるときだけ「痛い」と言う
- 布団から起き上がるのに時間がかかるようになった
- 家事や外出の量が減った
- 転んだあと、痛みが続いている
「年のせい」と見過ごされやすい変化です。まずはレントゲン検査で骨の状態を確認し、必要に応じて追加の検査を行います。
折れて間もない骨折はレントゲンに写らないことがあります。「異常なし」と言われたあとも痛みが続く場合は、あらためてご受診・ご相談ください。
※ここに挙げた内容は受診の目安であり、診断ではありません。
脊椎外科の担当医師
秋山 典宏(あきやま のりひろ)脊椎センター長
1999年 京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院整形外科、日野記念病院 滋賀脊椎センターなどを経て、2026年4月より長岡京病院に勤務。1999年より整形外科、2013年より脊椎外科の診療に従事しています。
- 脊椎手術の執刀件数
- 約1,700件2013年10月〜2026年9月・前職を含む
- 脊椎センターの担当
- 月・火・金 午前いつのまにか骨折(脊椎圧迫骨折)の診察と手術を行っています
※脊椎センターの診療内容・ご予約に関するお問い合わせは、075-955-1151 へお願いいたします。
いつのまにか骨折についてよくある質問
質問をタップすると、答えが表示されます。
Qいつのまにか骨折の症状は?
寝返りや起き上がりなど姿勢を変えるときの背中・腰の痛みが代表的です。ただし痛みがほとんど出ないこともあり、身長が縮む、背中が丸くなるといった変化が唯一の手がかりになることがあります。
Q何もしていないのに骨折するのはなぜですか?
骨粗しょう症で骨の強度が下がると、自分の体重を支えるだけでも椎体がつぶれることがあるためです。くしゃみ、荷物の持ち上げ、尻もちといった日常の動作が引き金になります。
Qいつのまにか骨折が起こりやすい部位はどこですか?
背骨のなかでも胸椎と腰椎のつなぎ目あたりが最も多い部位です。骨粗しょう症では、ほかに太ももの付け根、手首、腕の付け根も骨折しやすい部位として知られています。
Q自然に治りますか?
治療を受けないまま骨が固まることはあります。ただしつぶれた形のまま固まるため背骨の変形は残り、骨の強度が低下した状態も変わらないため、次の骨折が起こりやすいままです。痛みが消えることと骨粗しょう症が治ることは別です。
Qコルセットはいつまで必要ですか?
装着期間の目安は3〜6か月で、骨の状態により調整します。痛みが引いても骨が固まりきっていないことがあるため、外すタイミングは診察で判断します。自己判断で中止すると変形が進むことがあります。
Q入院は必要ですか?
痛みの程度、ご自宅の環境、介助の体制によって、お一人ずつ判断します。ご自宅で安静を保てる場合は、通院で治療を続けていただくこともあります。
Qいつのまにか骨折は何歳くらいから起こりやすいですか?
高齢の方に多くみられますが、年齢だけで決まるものではありません。骨の強度が下がることが原因のため、女性では閉経後、50代・60代でも起こります。喫煙、過度の飲酒、ステロイド薬の長期使用、極端なやせなどがある方は、年齢にかかわらず骨密度検査を受けることをおすすめします。
Qいつのまにか骨折のあと、体操やリハビリはしたほうがよいですか?
痛みを抑えながら、動ける範囲で体を動かすことが大切です。痛いからと安静にしすぎると筋力と骨量がさらに落ち、次の骨折や転倒につながります。ただし、骨が固まっていない時期に体をひねる・前かがみで重い物を持つといった動作は、変形を進めることがあります。どの運動をいつから始めてよいかは骨折の状態によって異なりますので、自己判断ではなく診察でご確認ください。
Q「いつの間にか骨折」と書かれているものと同じですか?
同じものです。表記の違いだけで、いずれも骨粗しょう症によって背骨の椎体がつぶれる脊椎圧迫骨折(骨粗鬆症性椎体骨折)を指します。
参考にした資料
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団)『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』ライフサイエンス出版、2025年
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症」(健康日本21アクション支援システム)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-043.html(2026年8月13日閲覧)
最終更新日:2026年8月24日
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