円背(背中が丸くなる)の原因と治療|京都・長岡京の脊椎センター

「以前より背中が丸くなった」「身長が縮んだ気がする」——背骨が丸く曲がった状態を円背(えんぱい)といいます。年齢による変化と思われがちですが、背骨の骨折が背景にあることも少なくありません。長岡京病院 脊椎センターでは、原因を確かめたうえで、曲がりの進行を抑えることを目的とした治療をご案内しています。

秋山 典宏 医師(長岡京病院 脊椎センター長)

【担当】脊椎センター長 秋山 典宏(あきやま のりひろ)医師

日本整形外科学会認定 整形外科専門医/日本骨粗鬆症学会認定医
1999年 京都大学医学部卒業。2013年より脊椎外科を専門として診療しています。

円背(えんぱい)とは

円背とは、背骨が前方に丸く曲がった状態をいいます。医学用語では脊柱後弯(せきちゅうこうわん)と呼びます。曲がりが強く、背中が大きく突き出た状態を亀背(きはい)ということもあります。

この曲がりが強くなり、まっすぐ立ちにくくなった状態が円背です。姿勢の癖として起こることもあれば、背骨そのものの変化として起こることもあり、この二つは分けて考える必要があります。

こんな変化はありませんか

  • 以前より背中が丸くなった、と家族に言われる
  • 若い頃より身長が縮んだ
  • 壁に背中とかかとを同時につけると、後頭部が壁に届かない
  • 仰向けに寝ると背中が浮いて苦しい、枕が高くないと眠れない
  • 食事がつかえる、少し食べるとお腹がいっぱいになる
  • 長く立っていると背中や腰が疲れる

※あてはまる項目があっても、すべてが病気とは限りません。原因を確かめることで、今後の見通しが立てやすくなります。

円背の原因

骨粗しょう症による背骨の骨折が積み重なって起こる

背骨は椎体(ついたい)という円柱状の骨が積み重なってできています。骨粗しょう症で骨の強度が低下すると、この椎体が体の重みでつぶれることがあります。つぶれ方は前側が強く、椎体がくさび形になるため、一つつぶれるごとに背骨が少しずつ前に傾きます

この骨折は、転んだ覚えがないまま、痛みもはっきりしないまま起こることがあります。いつのまにか骨折と呼ばれるのはこのためです。背中が丸くなってきたという変化そのものが、骨折が起きていたことに気づく最初のきっかけになることがあります。

加齢による筋力・椎間板の変化

背骨を支える背筋の力が落ちると、上半身を起こしておくことが難しくなり、前かがみの姿勢になりやすくなります。また椎体と椎体の間にある椎間板は、年齢とともに水分が減って薄くなります。

こうした変化でも背中は丸くなりますが、骨折による円背とは、必要な対応が異なります。見た目が似ていても原因は同じではないため、まず確かめることが大切です。

円背を放置するとどうなるか

背骨の曲がりが進むと、次のような変化が起こることがあります。

  • 次の骨折が起きやすくなる:一つ椎体がつぶれると、その前後の椎体にかかる負担が増え、続けて骨折することがあります
  • 胃や肺が圧迫される:前かがみの姿勢が続くと、胸やお腹の空間が狭くなり、逆流症状や食欲の低下、息苦しさにつながることがあります
  • バランスが取りにくくなる:重心が前に寄るため、歩くときに支えが必要になったり、転びやすくなったりします
  • 背中や腰の痛みが続く:背筋が常に緊張した状態になり、疲れやすさや痛みの原因になることがあります

いずれも、曲がりが進むほど戻しにくくなります。気づいた時点で原因を確かめ、進行を抑えることに意味があります。

円背の検査——何を確かめるのか

診察では、立った姿勢と横から見た背骨の形を確認し、レントゲンで椎体の形と背骨全体の曲がりを調べます。過去につぶれた椎体があるかどうかは、レントゲンで分かることが多くあります。

あわせて骨粗しょう症の有無を確かめるため、骨密度検査(DXA法)を行います。詳しくは骨粗しょう症の治療・骨密度検査をご覧ください。

※他院で撮影されたMRIの画像をお持ちの方は、CD-ROMなどの媒体でご持参ください。

円背の治療——今できること

骨粗しょう症の治療で「これ以上曲げない」

骨折の積み重ねで生じた円背では、次の骨折を防ぐことが治療の中心になります。骨粗しょう症の治療は、骨の強度を保ち、新たな椎体骨折が起こる可能性を下げることを目的として行います。

薬による治療のほか、食事や日常生活での注意点についてもご説明します。すでに骨折を起こしたことがある方は、次の骨折が起こりやすい状態にあるため、治療を続けていただくことに特に意味があります

運動療法・リハビリテーション

背筋や体幹の筋力を保つことは、姿勢を支えるうえで役立ちます。当院ではリハビリテーションまで院内で対応できる体制を取っており、お一人ずつの状態に合わせてご案内します。

※骨折がある時期や骨がもろい状態では、避けたほうがよい動きもあります。自己流で強く体を反らせるような運動は行わず、診察のうえで進め方をご相談ください。

装具(コルセット)を使う場合

背骨を支え、痛みを軽くする目的で、コルセットなどの装具をお使いいただくことがあります。使う期間や種類は、骨折の有無や骨の状態によって異なります。診察のうえで必要性を判断します。

脊椎センターの担当医師

長岡京病院 脊椎センターでは、日本整形外科学会認定 整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医の秋山 典宏 医師が診療を担当しています。外来は火曜・金曜の午前です。

円背についてよくある質問

Q. 曲がってしまった背中は元に戻りますか。
いったんつぶれた椎体の形が自然に戻ることはありません。治療の目的は、痛みを和らげ、曲がりの進行を抑えることです。
Q. 痛みがなくても受診したほうがよいですか。
背骨の骨折は痛みがはっきりしないまま起こることがあります。背中が丸くなった、身長が縮んだという変化があれば、一度ご受診・ご相談ください。
Q. 家族の背中が丸くなってきましたが、本人が受診を嫌がります。
身長の変化や、壁に背中とかかとをつけたときの様子など、ご家族が気づける手がかりがあります。ご本人のご負担が少ない受け方についてもご相談いただけます。

受診のご案内

長岡京病院 脊椎センターには、長岡京市・向日市・大山崎町(乙訓地域)のほか、京都市や大阪府北部からもご来院いただいています。阪急「長岡天神」駅から徒歩約5分です。

病院名 医療法人総心会 長岡京病院
住所 〒617-0824 京都府長岡京市天神1丁目20-10
アクセス 阪急京都線「長岡天神」駅から徒歩約5分
診察日 火曜・金曜 午前9:00〜12:00(受付開始8:00)/担当:秋山 典宏 医師

参考にした資料

  • 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団)『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』ライフサイエンス出版、2025年