後縦靱帯骨化症(OPLL)の治療・手術|京都・長岡京の脊椎センター

手指の細かい作業がしにくい、階段が下りにくい、両脚がしびれる——後縦靱帯骨化症(OPLL)は、背骨の靱帯が骨に変わって神経を圧迫する病気で、指定難病に指定されています。症状の見分け方から、手術を考えるタイミング、当院で行う手術までをご説明します。

秋山 典宏 医師(長岡京病院 脊椎センター長)

脊椎センター 担当医:秋山 典宏(あきやま のりひろ)医師

日本整形外科学会認定 整形外科専門医
1999年 京都大学医学部卒業。2013年より脊椎外科を専門として診療しています。

まずはセルフチェック

  • ボタンをとめる、箸を使うなど手指の細かい動作がしにくくなった
  • 階段を下りるときに手すりが必要になった、歩き方がぎこちない
  • 両脚のしびれや脱力が続いている
  • 胸やお腹に帯を巻いたような締めつけ感がある
  • 検査で頚椎や胸椎に「骨化」があると言われたことがある

複数当てはまる方は一度ご受診・ご相談ください。※これは受診の目安であり、診断ではありません。

後縦靱帯骨化症(OPLL)とは

背骨の椎体の後ろを縦に走る「後縦靱帯」が硬くなって骨に変わり(骨化)、その後ろにある脊髄を圧迫する病気です。頚椎に最も多く、胸椎や腰椎にも起こります。国の指定難病(69)です。骨化があってもすぐに症状が出るとは限らず、半数以上の方は数年経過しても症状が変化しないとされています(難病情報センター)。

頚椎・胸椎それぞれに出る症状

頚椎に起きた場合は、手指の巧緻運動障害(細かい動作のしにくさ)や手足のしびれから始まることが多く、進行すると歩行が困難になったり、排尿・排便の障害が出ることがあります。

胸椎に起きた場合は体幹と下半身に症状が出ます。初発症状としては下肢の脱力やしびれが多く、重症になるとやはり歩行困難や排尿・排便の障害が現れることがあります(難病情報センター)。

また、転倒などの軽い外力をきっかけに神経の障害が急速に進行することがあるため、転倒には十分な注意が必要です。

検査と診断

問診と神経学的な診察のうえで、レントゲンとCTを行います。CTは骨化の範囲や程度を立体的に確認するのに適した検査で、どの高さの、どのくらいの大きさの骨化があるかを把握できます。骨化によって脊髄がどの程度圧迫されているかは、MRIの画像をあわせて拝見することで評価いたします。

他院で撮影されたMRI画像をお持ちください

他院で撮影されたMRI画像をCD-ROMなどの媒体でお持ちいただければ、その画像をもとに担当医が診断と治療方針をご説明します。まだ撮影されていない場合も、診察のうえで、MRI検査を含めた今後の進め方をご説明します。

治療の考え方

骨化があること自体が手術の理由にはなりません。

手術をせずに経過をみる場合

症状が軽い場合や進行がない場合は、装具や内服薬による治療を行いながら経過をみます。前述のとおり半数以上の方は数年経過しても症状が変化しません(難病情報センター)。骨化は少しずつ広がることがあるため、症状がない方も定期的に画像検査で確認していくことが大切です。

手術を検討する場合

次のような場合に手術を検討します。

  • 手足のしびれや脱力が次第に強くなっている(進行している)
  • 歩行が困難になってきた、転びやすくなった
  • 排尿や排便の障害が出てきた
  • 手指の動かしにくさで日常生活に支障が出ている

当院で行う手術

当院では、胸椎の後縦靱帯骨化症に対して後方からの除圧術を行っています。背中側から椎弓(背骨の後ろ側の骨)を削って脊髄の通り道を広げ、圧迫を取り除く方法です。骨化の範囲が広い場合や、除圧によって脊椎が不安定になる場合には、スクリューなどを用いた固定術を併用します(胸腰椎除圧固定術)。骨化の部位や大きさ、脊椎の並びをふまえて、どの範囲をどう除圧するかを決めます。

手術で改善が期待できる状況/期待しにくい状況

神経の圧迫によるしびれや歩きにくさは、圧迫を取り除くことで改善が期待できます。一方、まひが長期間続いていた場合には、圧迫を取り除いても症状が完全には戻らないことがあります。

手術に伴う合併症とリスク

後縦靱帯骨化症の手術は、脊髄のすぐ近くを操作します。神経症状の悪化やまひ、出血、感染、髄液のもれ、深部静脈血栓症などが起こる可能性があります。骨化が大きい場合や広範囲にわたる場合は、手術の難易度が上がります。また、手術によって症状が改善した場合でも、数年から10年程度の経過で同じ部位や別の部位の骨化が大きくなり、再び症状が出ることがあります(難病情報センター)。手術前に、想定される効果とリスクを個別にご説明します。

費用と医療費助成(指定難病69)

手術・入院・検査はいずれも健康保険の対象です。自己負担が高額になる場合は高額療養費制度が利用できます。

加えて後縦靱帯骨化症は指定難病(69)のため、次のいずれかに該当する方は「難病法」による医療費助成を受けられます(難病情報センター)。

  • 重症度分類に照らして病状の程度が一定程度以上である
  • 軽症高額該当(重症度分類は満たさないが、申請月以前の12か月以内に、医療費総額(10割)が月33,330円を超える月が3回以上ある)

申請は、難病指定医が作成する臨床調査個人票を添えて、お住まいの都道府県・指定都市の窓口で行います。認定審査には2〜3か月程度かかります。診断がついた方全員が自動的に対象になるわけではありません。また、医療受給者証が使えるのは難病指定医療機関での受診分です。ご不明な点は診察時にご相談ください。

当院の診療体制

長岡京病院 脊椎センターでは、日本整形外科学会認定 整形外科専門医の秋山 典宏 医師が診療を担当しています。外来は火曜・金曜の午前です。当院は入院設備を備えています。

対応エリア

長岡京病院 脊椎センターには、長岡京市・向日市・大山崎町(乙訓地域)のほか、京都市や大阪府北部からもご来院いただいています。阪急「長岡天神」駅から徒歩約5分です。他院で「骨化がある」と言われて心配な方も、どうぞご受診・ご相談ください。

受診の流れ・アクセス

  1. ご予約完全予約制です。ご来院前に必ずお電話でご予約ください。他院の紹介状・画像(MRI等)をお持ちの方はご持参ください
  2. 診察・検査:問診と神経学的診察のうえで、レントゲン・CTにより確認します
  3. 治療方針のご説明:経過観察と手術それぞれの見通しをご説明し、一緒に方針を決めます
病院名 医療法人総心会 長岡京病院
住所 〒617-0824 京都府長岡京市天神1丁目20-10
アクセス 阪急京都線「長岡天神」駅から徒歩約5分
診察日 火曜・金曜 午前9:00〜12:00(受付開始8:00)/担当:秋山 典宏 医師

よくある質問

Q. 手術のあとに再び症状が出ることはありますか。
あります。手術で症状が改善しても、数年から10年程度の経過で同じ部位や別の部位の骨化が大きくなり、再び症状が出ることがあります(難病情報センター)。手術後も定期的な受診が必要です。
Q. 手術をしない選択肢はありますか。
症状が軽く進行がない場合は、装具や薬による治療で経過をみます。半数以上の方は数年経過しても症状が変化しないとされています(難病情報センター)。ただし転倒をきっかけに急に悪化することがあるため、経過観察中も注意が必要です。
Q. MRIは他院で撮影したものでも大丈夫ですか。
はい。他院で撮影されたMRI画像をお持ちいただければ、その画像をもとに診断と治療方針をご説明します。紹介状もあわせてお持ちください。

出典

  • 難病情報センター「後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)」
  • 難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」