背骨の圧迫骨折に対し、痛みの軽減をはかる手術が経皮的椎体形成術です。圧迫骨折については圧迫骨折の治療・手術をご覧ください。
経皮的椎体形成術とは
経皮的椎体形成術は、骨粗鬆症などでつぶれた背骨(椎体)に医療用の骨セメントを注入し、内側から支えて安定させる手術です。背中に5mmほどの切開を2か所加え、レントゲン透視で位置を確認しながら細い針を椎体まで進めます。皮膚を大きく開かないため体への負担が小さく、折れた部分が動くことで生じる痛みの軽減が期待できます。読み方は「けいひてきついたいけいせいじゅつ」です。当院で行うバルーン椎体形成術(BKP)は、2011年から健康保険が適用されています。
経皮的椎体形成術の種類
経皮的椎体形成術には大きく2つの方法があります。
PVP(経皮的椎体形成術)
つぶれた椎体に針を刺し、骨セメントを直接注入して固める方法です。バルーンを使わないぶん手技がシンプルで、骨折の状態によって選ばれることもあります。
BKP(バルーン椎体形成術)
椎体の中でバルーンをふくらませて空間をつくり、そこへ粘度の高いセメントを充填する方法です。空間をつくってから充填するため、つぶれた椎体の高さの回復が図りやすい方法とされています(日本脊椎脊髄病学会ほか「経皮的後弯矯正術 適正使用指針」2024年)。当院ではBKPを行っています。
この手術が向く方(適応)
骨粗鬆症による新しい椎体骨折で、コルセットや薬による保存療法を続けても強い痛みが残る方、痛みで起き上がりや歩行が難しい方が対象です。折れた椎体がくっつかない偽関節も適応となることがあります。他院で治療を受けたあとも痛みが続く方の相談も受けています。他院で撮影された画像をお持ちいただければ拝見し、方針をご説明します。
受けられない方(禁忌)
骨折部位に感染がある方、出血が止まりにくい病気のある方、セメントの成分にアレルギーのある方は受けられません。神経が強く圧迫されて麻痺が出ている場合は、除圧術や固定術など別の手術を検討します。
手術の流れと入院期間
術前に血液検査と画像検査で全身状態を確認し、手術の内容とリスクをご説明します。手術は全身麻酔で、うつぶせの姿勢で行います。手術時間や入院期間は、骨折の状態や全身状態によって異なります。詳しい内容については、診察の際にご案内します。術後は痛みの回復に合わせてリハビリを始め、退院後も骨粗しょう症の治療を続けて、次の骨折の予防に取り組みます。
リスク・合併症(デメリット)
体への負担が小さい手術ですが、合併症が起こらないわけではありません。骨セメントの漏れでは、椎体の外や血管へセメントが漏れ、神経を圧迫したり、まれに肺の血管に詰まったりすることがあります。隣接椎体骨折は、固めた椎体の隣が新たに折れるものです。ほかに感染、出血、しびれや麻痺などの神経症状、血栓症が起こることがあります。また、骨折以外に痛みの原因がある場合は効果が出にくく、手術後も痛みが残ることがあります。当院では、術前の画像評価で適応を慎重に見極め、手術中もレントゲン透視で確認しながら進めます。リスクとメリットの両方をご説明し、一緒に治療方針を決めていきます。
費用(健康保険・高額療養費)
経皮的椎体形成術には健康保険が適用されます。自己負担が高額になった場合は高額療養費制度により、年齢や所得に応じた限度額を超えた分が払い戻されます。あらかじめ限度額適用認定証をご用意いただくと、窓口でのお支払いを限度額までにとどめられます。金額の目安は受診時にご説明します。
担当医師

【担当】脊椎センター長 秋山 典宏(あきやま のりひろ)医師
日本整形外科学会認定 整形外科専門医/日本骨粗鬆症学会認定医
1999年 京都大学医学部卒業。2013年より脊椎外科を専門とし、椎体形成術のほか除圧術・固定術、他院で手術を受けた方の再手術まで担当。骨粗鬆症の薬物治療も行い、再骨折の予防まで続けて診ています。
脊椎センターの診察日:火曜・金曜 午前9:00〜12:00(受付開始8:00)
よくある質問
- Q. 高齢でも手術を受けられますか。
- 年齢だけで判断はしません。全身状態を確認したうえでご提案します。
- Q. 手術後のリハビリは必要ですか。
- 入院中から始めます。筋力と歩行の回復、再転倒の予防が目的です。